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新しく報告された抗SARS-CoV-2剤候補化合物
2019年12月に出現したウイルスSARS-CoV-2は,その後,世界的に急速な広がりをみせています。一方,これまでの研究から,抗SARS-CoV-2活性をもつ可能性が示された合成医薬,伝統薬,および天然物などが報告されています1,2)。ここでは,これら研究の中から三つの候補化合物に注目し,紹介していきます。
Arbidol Hydrochloride (1)
1は,エンベロープと非エンベロープの双方のウイルスに作用する広域スペクトル抗ウイルス剤で,主にロシアで使用されています。1はウイルスの細胞内への侵入を防ぎ,ウイルスと宿主細胞膜との融合を防ぐことが知られています。最近になって,抗SARS-CoV-2活性をもつことが報告されました2,3)。
Cepharanthine (2)
2は,薬草であるタマサキツヅラフジ (Stephania cepharantha HAYATA) に含まれているアルカロイドで,様々な病気の治療やヘビ毒の解毒剤として広く利用されてきました。最近では,2とネルフィナビルの併用がSARS-CoV-2を含むコロナウイルスの増殖抑制に有効であることが報告されています4)。
Theaflavin (3)
3は,抗酸化,抗がん,抗ウイルスの各作用を含む多様な生物学的活性を有するフラボノイドです。3もまた,最近の研究からSARS-CoV-2ウイルスの増殖抑制に有効である可能性が示された化合物です5)。報告によると,3はRNA依存性RNAポリメラーゼに結合し,SARS-CoV-2ウイルスの増殖や活性を抑制する可能性があると指摘されています。
※これらの製品は試薬であり,試験・研究用のみにご使用ください。
文献
- 1) 新型コロナウイルス治療薬開発状況 -科学的なエビデンスにもとづいた治療薬の評価を-
- 2) Candidate drugs against SARS-CoV-2 and COVID-19
- 3) Arbidol: A potential antiviral drug for the treatment of SARS-CoV-2 by blocking trimerization of the spike glycoprotein
- 4) Multidrug treatment with nelfinavir and cepharanthine against COVID-19
- 5) The potential chemical structure of anti-SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase
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