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ピペラジン誘導体合成反応に有用な可視光レドックス触媒
可視光レドックス触媒は可視光により励起された後,励起三重項状態の電子配置へと変化します。励起三重項状態から基底状態への遷移は禁制であるため励起寿命が比較的長く,この消光過程において一電子酸化と一電子還元両方に対して活性を示すことが知られています1)。一方,ピペラジン環は医薬品の部分構造に導入されており,置換ピペラジンの合成研究が進められています。さて,Bousquet,Bigotらは,可視光レドックス触媒としてIr[(ppy)2(dtbbpy)]PF6 (1)を用い,グリシン誘導体からピペラジン骨格を構築する方法を報告しています2)。この反応はCLAP (CarboxyLic Amine Protocol) chemistryと呼ばれており,塩基性条件下,N-(2-アミノエチル)-N-ベンジルグリシンビス(トリフルオロアセタート) (2)を種々のアルデヒドと反応させてイミン中間体を形成後,1を添加して可視光を照射すると,脱炭酸を伴ってピペラジン誘導体が得られます。この反応はバッチ法だけでなく,フロー法でもグラムスケールで合成が可能であることも特長の一つです。
反応実例:1を用いた3-アリールピペラジンの合成2)
加熱乾燥したシュレンク管に2 (88 mg,0.20 mmol)を仕込み,窒素置換を3回行った。1 mol/L水酸化カリウムのメタノール溶液(0.82 mL,0.82 mmol)と4-フルオロベンズアルデヒド(35 mg,0.28 mmol)を加え,室温で0.5時間撹拌した。1 (1.8 mg,2.0 x 10-3 mmol)のアセトニトリル溶液(3.2 mL)を加え,窒素ガスで脱気した後,青色LED照射下で室温中3時間撹拌した。析出したトリフルオロ酢酸塩をろ別後,ろ液を減圧濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 99:1)で精製すると,1-ベンジル-3-(4-フルオロフェニル)ピペラジン(43 mg,80%)が黄色液体として得られた。
文献
- 1) Synthetic applications of photoredox catalysis with visible light
- 2) Visible-Light-Driven CarboxyLic Amine Protocol (CLAP) for the Synthesis of 2‑Substituted Piperazines under Batch and Flow Conditions
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