近年,情報処理機器の薄型化の要望により,種々の原理に基づいたフラットパネルディスプレイ(FPD)の研究が盛んに行われています。それらの中でも液晶ディスプレイ(LCD),プラズマディスプレイ(PDP)は,現在の主流として様々な機器に利用されています。一方,発光素子に有機化合物を用いる有機エレクトロルミネッセントディスプレイ(OELD)は,1987年に報告されて以来,研究開発が急速に進展し,現在では一部実用化に至っています。この有機エレクトロルミネッセント(EL)素子は自己発光型であり,低電圧駆動が可能,視野角依存性がない,高速応答性,高輝度などLCDにはない特長があり,21世紀のFPDとして期待されています。
EL素子は通常,ガラス基板(Glass Substrate)上に透明陽極(ITO Anode),正孔輸送層(HTL : hole transport layer),発光層(EML : emitterlayer),電子輸送層(ETL : electron transportlayer),陰極(Cathode)の順に積層された構造を持ち,その動作原理は,1 )電極から有機薄膜への電気的キャリヤである正孔と電子の注入,2 )正孔と電子の対向電極への移動,3 )正孔と電子の発光層での再結合による励起子の生成,4 )励起子からの発光,の四段階からなります。
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有機エレクトロルミネッセンス材料 / Organic Electroluminescent Materials
No.108(2000/10発行)
- B2079
- TAPC [=1,1-Bis[4-[N,N-di(p-tolyl)amino]phenyl]cyclohexane] (1)
- D2448
- TPD [=[N,N'-Diphenyl-[N,N'-di(m-tolyl)benzidine] (1)
- P1005
- CuPc [=Phthalocyanine Copper (α-form)] (1)
- P1006
- CuPc [=Phthalocyanine Copper (β-form)] (1)
- D2757
- BND [=2,5-Bis(1-naphthyl)-1,3,4-oxadiazole] (2)
- B1767
- PBD [=2-(4-tert-Butylphenyl)-5-(4-biphenylyl)-1,3,4-oxadiazole] (2)
- B2078
- ZnPBO [=Bis[2-(2-benzoxazolyl)phenolato] Zinc(II)] (3)
- T1527
- Alq [=Tris(8-quinolinolato)aluminum] (3)
- B2088
- Coumarin 6 [=3-(2-Benzothiazolyl)-7-(diethylamino)coumarin] (4)
- D2687
- DMQA [=[N,N'-Dimethylquinacridone] (4)
- N0659
- Nile Red (4)
- P0078
- Perylene (4)
- T0561
- Rubrene (4)
- T0168
- TPB [=1,1,4,4-Tetraphenyl-1,3-butadiene] (4)
- Q0057
- Quinacridone (4)
- D2704
- Dichlorodi-n-butylsilane (5)
- D2710
- Dichlorodi-n-pentylsilane (5)
- D2712
- Dichlorodi-n-hexylsilane (5)
- D0358
- Dichlorodimethylsilane (5)
- P0790
- Dichloromethylphenylsilane (5)
素子に用いられる有機材料は,1 )正孔注入を陽極から受け輸送する正孔輸送材料,2 )電子注入を陰極から受け輸送する電子輸送材料,3 )正孔と電子を効率よく再結合させ励起子を生成・発光させる発光層材料,4 )キャリヤ輸送層や発光層に微量を添加し耐久性や発光効率の向上に寄与するドーピング色素材料,の4つに大別することができます。積層する材料の組み合わせによっては,キャリヤ輸送層が発光層を兼ねる場合もあります。
それぞれの材料について新製品を用意しましたので既存製品と併せて紹介します。
それぞれの材料について新製品を用意しましたので既存製品と併せて紹介します。
1) 正孔輸送材料
2) 電子輸送材料
3) 発光層材料
4) ドーピング色素材料
5) ジクロロシラン誘導体(ポリシランの原料)
低分子系材料は,高輝度,高効率,フルカラー化が可能である一方,形成された薄膜の物理的強度の低さや,数層にわたって有機層を形成するために時間を要するという問題点があります。これらを解決する方法の一つとしてポリマー材料の研究が盛んに行われています。その中でも近紫外や紫外への発光波長の短波長化を目指した発光材料として,有機ケイ素ポリマーのポリシランが注目されています。ポリシランは主鎖のσ結合を通して電子の非局在化が起こる一種の共役ポリマーで,キャリヤ伝導性を有し,固体フィルムでも高発光収率であるという特長があります。
今回,EL特性が検討されているポリシランの原料となるジクロロシラン誘導体を製品化しました。
今回,EL特性が検討されているポリシランの原料となるジクロロシラン誘導体を製品化しました。
文献
- 月刊ディスプレイ, 2000年 7月号 特集 “注目のディスプレイと周辺技術”
- 城戸淳二, ファインケミカル 1996, 25, 52.
- 安達千波矢, 谷口彬雄, 高分子 1998, 47, 457.
- 鄒徳春, 筒井哲夫, 機能材料 1998, 18, 36.
- 星野聰, ibid. 1999, 19, 39.
関連製品
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また,地域等によって販売製品が異なります。製品詳細ページが表示されない場合は,販売は行っておりませんのでご了承ください。
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