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トピックス(クリックケミストリー)
「クリックケミストリー」とは、簡単で安定な結合を作り出す反応を用いて新しい機能性分子を創出する合成化学の手法です。この概念はBarry Sharpless教授によって提唱され、化学反応を単純化し、余計な副生物を生成しないことが特徴です。クリックケミストリーの条件は、保護基なしで高収率・高選択率、反応操作の簡便さ、多様な原料の容易な入手、生理的条件下でも進行することです。代表的な反応はアルキンとアジド化合物の環状付加で、1,2,3-トリアゾールを生成します。この手法は創薬分野での新規化合物探索の時間短縮に貢献しています。
他に知られているクリック反応としては、SPAAC反応とSPIEDAC反応があります。 SPAAC反応は、歪み促進型アジド-アルキン付加環化反応 (Strain-Promoted Azide-Alkyne Cycloaddition)の略です。銅触媒を必要とせず、室温で歪み促進型アジド-アルキン付加環化を起こすため、生細胞での利用が可能です。一方、SPIEDAC反応は、歪み促進逆電子要請型Diels-Alder反応 (Strain-Promoted Inverse Electron-demand Diels-Alder Cycloaddition)の略です。テトラジンやトリアジンなどの極めて電子不足な複素環が、ノルボルネン・trans-シクロオクテン・シクロオクチンといった歪C-C多重結合化合物に対して高い反応性を示します。他の反応と比べても、金属触媒などを必要とせず、圧倒的に高速なことが最大の特徴です。これらの反応は、生体共役反応として用いられ、様々な官能基が共存する生体内での化学反応の観察に重要な役割を果たしています。