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TCI反応実例:可視光レドックス触媒を用いたアルコールの脱酸素的フッ素化反応

可視光レドックス触媒Ir[((p-F(Me)ppy)2(4,4'-dtbbpy)]PF6を用いた、2-メチル-4-フェニル-2-ブタノールの脱酸素的フッ素化反応をご紹介します。第三級アルコールをシュウ酸エステルとして活性化し、ラジカル前駆体として使用することで、効率的にC-Fカップリングを行うことができます。

TCI反応実例:可視光レドックス触媒を用いたアルコールの脱酸素的フッ素化反応

使用した化学品

実施手順

4頚フラスコを窒素置換し、2-メチル-4-フェニル-2-ブタノール (5 g, 30 mmol, 1 eq.)とジエチルエーテル (300 mL)を仕込んだ。氷水浴にて内温5 ˚C以下に冷却して、塩化オキサリル (7.78 g, 60 mmol, 2 eq.)を滴下した。室温に昇温し、そのまま22時間攪拌した。反応終了後、氷水浴にて冷却イオン交換水 (55 mL)を加えて反応を停止した。分液漏斗に移し、水層をジエチルエーテル (30 mL)で2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水 (100 mL)で洗浄した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウム (50 g)で乾燥後、減圧下濃縮すると中間体1 (淡黄色液体, 4.91 g, 粗収率68%)が得られた。1は精製せずに次の光反応に使用した。
3頚フラスコを窒素置換し、1 (1.3 g, 5.5 mmol, 1.0 eq.)、リン酸水素二ナトリウム·12水和物 (3.9 g, 11 mmol, 2.0 eq.)、F-TEDA-BF4 (3.3 g, 9.3 mmol, 1.7 eq.)、[Ir(p-F(Me)ppy)2-(4,4'-dtbbpy)]PF6 (0.053 g, 0.05 mmol, 0.94 mol%)、アセトン (44 mL)およびイオン交換水 (11 mL)を加え、反応溶液を窒素で15分間バブリングした。Blue LEDランプをフラスコから2-3 cm程度離して設置し、室温にて6時間照射しながら攪拌した。反応終了後ジエチルエーテル (50 mL)、イオン交換水 (50 mL)で希釈した。分液漏斗に移し、水層をジエチルエーテル (30 mL)で2回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水 (100 mL)で洗浄した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウム (50 g)で乾燥後、減圧下濃縮して粗生成物 (0.96 g, 褐色液体)が得られた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル = 10:1, Rf = 0.75)で精製すると、化合物2 (0.394 g, 収率43%)が無色透明液体として得られた。

実施者コメント

光源はKessil A160WE Tuna Blue 40Wを二つ使用した。
反応溶液は冷却ファンを用いて室温付近で攪拌を行った。
反応溶液は1H NMRとGCMSでモニタリングした。

分析データ

化合物 2

1H NMR (400 MHz, CDCl3); δ 7.32-7.27 (m, 2H), 7.20 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 2.75-2.71 (m, 2H), 1.97-1.88 (m, 2H), 1.41 (d, J = 21.5 Hz, 6H).

13C NMR (101 MHz, CDCl3); δ 142.01, 128.42, 128.28, 125.85, 95.33 (d, JC,F = 165.0 Hz), 43.32 (d, JC,F = 22.9 Hz), 30.24 (d, JC,F = 4.8 Hz), 26.67 (d, JC,F = 24.8 Hz).

19F NMR (376 MHz, CDCl3); δ -139.87 (m, 1F).

先行文献

その他の参考文献

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