精密ラジカル重合に効果的なRAFT剤

RAFT剤(連鎖移動剤)は，精密ラジカル重合の一種であるreversible addition-fragmentation chain transfer (RAFT)重合に欠かせない試薬です。図に示す化合物群は，ラジカル開裂を容易にするチオカルボニルチオ基を有し，可逆的な連鎖移動反応を媒介します。RAFT剤はモノマーに応じて選択する必要があり，例えば化合物1・化合物2のようなトリチオカルボナートはアクリラート・アクリルアミドなどの重合に適しており，化合物3のようなN-アルキル-N-アリールジチオカルバマートはビニルエステルやビニルアミドの重合に適しています^1,2)。RAFT重合は，モノマーや溶媒の適応範囲が広いこと，重金属を用いないことなどから，近年バイオマテリアルを含む様々な分野に応用されています。そのため，これらRAFT剤のさらなる利用が期待されます。