ラジカル重合を始めとする連鎖重合において、熱や光を用いて重合を開始させるために重合開始剤が用いられます。
熱重合開始剤は、加熱によってラジカルやカチオンなどの活性種を発生する化合物です。熱ラジカル重合においては、2,2'-アゾビスブチロニトリル(AIBN)のようなアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物を開始剤として用いられています。一方、熱カチオン重合開始剤としてはベンゼンスルホン酸エステルやアルキルスルホニウム塩などが開発されています。
光重合開始剤は、光やラジカル、カチオン、アニオンの3つの活性種を発生するものが開発されています。従来から広く用いられている光重合開始剤は、紫外線や電子線などの照射によりラジカルを発生するもので、代表的なものにベンゾイン誘導体があります。紫外線や電子線などの照射を受けてカチオン(酸)を発生する光酸発生剤は1990年代後半から実用に供されています。アニオン(塩基)を発生する光塩基発生剤は、最近基礎研究が盛んに行われつつある開始剤です。
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