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ステロイド

 ステロイドはコレステロールに代表されるような,4つの環からなる基本骨格をもつ化合物の総称です。動物ではトリテルペンのラノステロールから生合成され,自然界に広く存在します。テルペンと比べ4位にメチル基がない点が特徴です。本項ではステロイドを以下の5つの基本構造に分類してご紹介します。なお,ステロイド誘導体であるビタミンDはビタミンの項をご覧下さい。
●ステロイドホルモン:エストラン・アンドロスタン・プレグナン骨格
 ステロイドの中には生体内でホルモンとして働く化合物が知られています。その骨格はエストラン型,アンドロスタン型,プレグナン型の3つがあり,構造と機能に密接な関係があります(表1)。プレグナン型ステロイドは生理作用の面からコルチコイド(副腎皮質ホルモン)とプロゲストーゲン(黄体ホルモン)との2つに分類することができます。以下にステロイドホルモンの分類と代表的な化合物を示します。

 自然のコルチコイド(副腎皮質ホルモン)であるコルチゾンの構造をもとに化学合成されたデキサメタゾン,プレドニゾロンは抗炎症剤として用いられています。
また,プロゲストーゲン(黄体ホルモン)であるプロゲステロンは排卵抑制作用を示し,この構造をもとに化学合成された19-ノルテストステロン誘導体は経口避妊薬成分として用いられています。
アンドロゲン(男性ホルモン)であるテストステロンは,性ホルモンとしての作用の他に,タンパク質同化作用が知られています。骨密度上昇,筋肉増強剤としてその誘導体はドーピングの規制対象になっているものがあります。エストロゲンの生合成中間体でもあります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)は,プロゲストーゲンに微量添加することにより排卵をほぼ完全に抑制できることから,経口避妊薬成分として用いられています。さらに,女性の骨粗鬆症,心筋梗塞,アルツハイマー病の予防に役立つと報告されています。
<ご注意>
ステロイドホルモンには微量で大きな生理作用を示すものがあります。身体への付着,吸入を防ぐため,取り扱いの際には保護衣,保護手袋,保護眼鏡をご着用ください。また,保管,輸送,廃棄に至るまで,十分な安全対策と,細心の注意のもとにお取り扱いください。
ステロイドホルモンの分類

表1.ステロイドホルモンの分類

●胆汁酸:コラン骨格
 胆汁酸の成分にはコラン骨格をもつステロイドが見出されています。代表例であるコール酸はグリシンやタウリンとアミド結合した抱合体として存在し,胆汁酸の主成分です。コール酸抱合体は両親媒性であり,小腸での脂質の消化・吸収を助けます。コール酸は界面活性剤としても用いられます。
●コレステロール:コレスタン骨格
コレスタン骨格をもつコレステロールは動物の細胞膜の主成分であり,膜の柔軟性を上げる役割があります。また,上記の各種ステロイドの生合成前駆体です。生体内では遊離体または高級脂肪酸とのエステルとして存在しています。
●植物ステロイド・配糖体・その他のステロイド
植物由来のステロイドは動物のステロイドとは生合成経路が異なり,シクロアルテノールから生合成されます。コレステロールの24位に置換基があることが特徴です。ステロイド配糖体,アグリコンもこの項に分類しました。
 

 

参考文献

  • P. M. Dewick, in Medicinal Natural Products, 3rd ed., John Wiley & Sons, Chichester, 2009, pp. 247-298.

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