カルボキシ炭素アニオン合成等価体として利用できるトリベンゾトリアゾール誘導体

トリス(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メタン（1）は，3つのベンゾトリアゾール基が置換したメタン誘導体であり，カルボキシ炭素アニオン合成等価体の前駆体として使用することができます。^1） ベンゾトリアゾール基により活性化されたメチンを持つ1は，ブチルリチウムにより容易に脱プロトン化を受けてリチオ体2を与えます。2に求電子試薬を作用させることで，様々な置換基を導入することが可能です。得られた化合物3のトリアゾール部位を酸加水分解すると，カルボン酸へと変換されるため，リチオ体2は，カルボキシ炭素アニオン合成等価体とみなすことができます。カルボキシ炭素アニオン合成等価体として使われているシアン化物イオンや，オルトチオエステルのリチオ体^2）は，強い毒性やチオ化合物特有の臭いなどから扱いにくい面があります。対して2は，毒性，臭いの面から扱い易いカルボキシ炭素アニオン合成等価体といえます。