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p-i-n型ペロブスカイト太陽電池に適したパッシベーション用アンモニウム塩
溶液プロセスで製造でき、高い光電変換効率 (PCE)を示すペロブスカイト太陽電池は次世代太陽電池として実用化のフェーズに入りつつあります1)。n-i-p型ペロブスカイト太陽電池ではペロブスカイト層を形成後に2-フェニルエチルアミンよう化水素酸塩に代表されるアンモニウム塩を塗布することで、層表面の欠陥を修復するパッシベーションと呼ばれる手法が用いられています。パッシベーションにより、PCEの向上のみならず熱や湿気といった外的劣化要因に対する耐久性も向上します。一方、p-i-n型ペロブスカイトにおいては、ペロブスカイト層にパッシベーションを行うことで電子がブロッキングされてしまうことが報告されていました。チオモルホリンよう化水素酸塩 (SMORI, 1)はp-i-n型ペロブスカイト太陽電池のパッシベーションに適したパッシベーション試薬です2)。ペロブスカイト層を形成後に1を塗布してアニーリングすることで、ペロブスカイト層の高耐久化に有利なquasi-2Dペロブスカイト層を形成することができます。未処理の場合と比較して1で処理したペロブスカイト層は、伝導帯のエネルギーレベルが電子輸送層のLUMOにより接近することでスムーズな電子移動が期待できます。
1を用いたp-i-n型ペロブスカイト太陽電池のPCEは最高で24.55% (VOC = 1.187 V, FF = 82.11%, JSC = 25.19 mA cm–2)であり、未処理の場合 (21.5%)と比べて性能が大きく向上しました2)。耐久性も向上し、1を用いた場合1500時間後の連続光照射後に87.6%のPCEを維持しました。85 °Cでの加速劣化試験において1を用いない場合は200時間で初期PCEから30%以上の性能低下が観測されたのに対して、1を用いた場合、800時間で初期PCEに対して90%の性能を維持しました。
文献
- 1) Achievements, challenges, and future prospects for industrialization of perovskite solar cells
- 2) Dimensional Regulation from 1D/3D to 2D/3D of Perovskite Interfaces for Stable Inverted Perovskite Solar Cells
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