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多環式芳香族化合物用ビルディングブロック: ビフェニレン
No.190(2022/08発行)
ビフェニレン (1)は四員環部分にひずみを有しているため、遷移金属によって容易に炭素-炭素結合が切断されることが知られています。その金属錯体は種々の化学種と反応し、新たな炭素-炭素結合を形成することが可能です。近年では、1と様々な化学種とを反応させ、多環式芳香族化合物の合成研究に利用されています1)。例えば伊丹らは、1と1,5,9-トリクロロトリフェニレン (2)をカップリングさせることで、歪んだ8員環を有する3a、3bを合成しました2)。また、Zhangらは、1と2-アルキルフェニルブロミド (4)との、C(sp3)-H活性化を経由したパラジウム触媒によるカップリング反応を開発しました3)。そのため、1を用いた多環式芳香族化合物研究の発展が期待されます。
文献
- 1) Recent Advances of Biphenylene: Synthesis, Reactions and Uses
- 2) Creation of negatively curved polyaromatics enabled by annulative coupling that forms an eight-membered ring
- 3) Diastereoselective Construction of Eight-Membered Carbocycles through Palladium-Catalyzed C(sp3)−H Functionalization
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