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筒状炭素分子:(6,6)カーボンナノベルト

 カーボンナノベルトは,ベンゼン環が縮環して筒状の構造をもつ炭素分子の総称として提唱され,その歴史は1954年に文献に記載されたことに始まります1)。その後,さまざまな筒状炭素分子が提案され,多くの化学者がそれらの合成に挑戦しました2)。1991年にカーボンナノチューブが発見されると3),カーボンナノベルトがカーボンナノチューブの部分構造であることが明らかになり,ますます注目を集めるようになりました。一方カーボンナノベルトは,ベンゼン環が筒状に曲がることで大きなひずみが生じるため,有効な合成法はこれまで報告されていませんでした。
 伊丹,瀬川らのグループは,ひずみのない環状分子を筒状構造に変換する方法で,パラキシレンから11段階で1を合成することに成功しました4)。得られた1の基礎物性は,各種分光学的手法により解析されました。X線を用いた構造解析法から,カーボンナノベルトはカーボンナノチューブと同様の筒状構造をもつことが明らかになりました。また,可視光の吸収および蛍光の分析からは,構造の剛直さや筒状構造全体に電子が通る性質が観測されるとともに,(6,6)カーボンナノチューブに非常に近い性質をもつ分子であることがラマン分光法によって実証されました4)
 カーボンナノベルトは,単一構造からなるカーボンナノチューブの合成の実現や, 新しい機能性材料開発の道を拓くことが期待され,今後のナノカーボン科学を一新する分子です。今回得られたカーボンナノベルトは赤色蛍光を発する有機分子で,発光材料や半導体材料として各種電子デバイスに搭載できる可能性があります。さらに,カーボンナノベルトをテンプレートにした製法で単一構造のカーボンナノチューブが得られれば,軽くて曲げられるディスプレイや省電力の超集積CPU,バッテリーや太陽電池の効率化など,非常に幅広い応用が期待されます。

図1. (6,6)Carbon Nanobelt (1)

図2. (6,6)Carbon Nanotubeの模式図

Scheme 1.

文献

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