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最小の“カーボンナノリング”:[5]シクロパラフェニレン([5]CPP)
No.170(2016/07発行)

シクロパラフェニレン(CPP)はベンゼン環をパラ位で環状につなげた化合物で,カーボンナノリングとも呼ばれます。この構造はカーボンナノチューブ(CNT)の最小構成単位に相当し,基礎化学のみならず材料科学などの応用分野からも注目されています。実際,伊丹らはこのCPPをテンプレートとし,炭素骨格をつなげていくことで,均一な直径を持つCNTをボトムアップ合成できることを見出しました1)。特定のサイズのCPPがフラーレンを包摂することも報告されており,ホスト分子材料としても注目されています2)。
最近では,より大きな歪みを持った小さいサイズのCPPが合成されています。山子3,4)およびJusti5)らのグループは,これまで合成されたCPPの中で最も小さな環サイズを持つ[5]CPP(1)の合成手法をそれぞれ独自に報告しています。1をテンプレートとすることで,最小の直径を有するCNTをボトムアップ合成できると期待されます。1はフラーレン(C60)の部分構造で,かつ同じ直径(0.7 nm)を有しており,C60に匹敵する狭いHOMO-LUMOギャップを持ちます。また,有機溶媒への高い溶解性を示します。

文献
- 1)Initiation of carbon nanotube growth by well-defined carbon nanorings
- 2)Size-selective encapsulation of C60 by [10]cycloparaphenylene: Formation of the shortest fullerene-peapod
- 3)Synthesis and characterization of [5]cycloparaphenylene
- 4)山子茂,茅原栄一,国立大学法人京都大学,特願2014-009789.
- 5)Efficient room-temperature synthesis of a highly strained carbon nanohoop fragment of buckminsterfullerene
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