有用な保護基導入剤 / A Useful Protecting Reagent

　カルバマート，カルボナート，チオカルボナート等の官能基はそれぞれアミン，アルコール，チオールの保護体として知られています。これらの合成にはクロロぎ酸アルキルが最もよく用いられていますが，通常，これらは危険・有害性の液体であり，また，熱分解や加水分解を受けやすく，取り扱いや保管に注意が必要です。さらに，反応を完結させるには，通常，塩基の添加や長い反応時間が必要であることから，より実用的で簡便なアミン，アルコール，チオールへの保護基導入剤の開発が望まれていました。

　Teoc-NT（1）は袖岡，清水が開発した有用な保護基導入剤で，アミン，アルコール，チオールと室温で速やかに反応し，それぞれ対応する保護体2を高収率で与えます。副生成物であるニトロトリアゾールは反応溶媒に不溶で，結晶として析出し，ろ過操作のみで目的物から分離することができます。また，Teoc基はフッ素イオンにより容易に脱保護できることから，1は塩基に不安定なオリゴヌクレオチド誘導体の合成にも利用可能です。

本製品は，独立行政法人理化学研究所の発明（特願2007-260255号）の実施許諾を受けています。