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ロタキサンとカテナン / Rotaxane and Catenane
No.113(2002/01発行)
近年の超分子化学の研究により二次元および三次元に形態を制御した分子設計が可能となってきています。その例としてロタキサン,カテナンが挙げられます。ロタキサンとはラテン語のrota(wheel)(輪)とaxis(axle)(軸)に由来した名前であり,輪が軸に挟まった形をした分子です。カテナンはラテン語のcatena(chain) (鎖)に由来した名前で,二つ以上の輪を絡ませた分子です。従来このような分子は環状分子と線状分子との統計的な反応によって合成されてきたので非常に収率が低かったのですが,近年のホスト-ゲスト化学の発展により効率的に合成されるようになりました1)。
Stoddartらは1と2からロタキサン3を収率23%で得ています。そして3のNMRスペクトルを種々の温度で測定したところ,クラウンエーテルが2つのビピリジニウム単位を往復していることが観測されました。このような分子は分子シャトルと呼ばれ,この動きを光や電気化学的に制御できれば,新たな機能材料としての用途が期待されます2)。
またStoddartらは,1と2を原料として様々なカテナンも合成しています。カテナン4はそのユニークな形からオリンピアダンと呼ばれており,シクロファンがクラウンエーテルに沿って移動していることが観測されています。このような分子は分子トレインと呼ばれています3)。
この他シクロデキストリンを用いたロタキサン,カテナンも多く合成されています。その中でも,多数のシクロデキストリンを水溶性ポリマーに通したポリロタキサンは,ドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が検討され始めています4)。
文献
- 1)Review
- a)D. B. Amabilino, J. F. Stoddart, Chem. Rev. 1995, 95, 2725.
- b)原田 明, 化学総説 1997, 31, 206.
- 2)A new design strategy for the self-assembly of molecular shuttles
- 3)Olympiadane
- 4)生体内分解性超分子
- 大谷 亨, 由井伸彦, 機能材料 1998, 18, 56.
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