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創薬研究向けC(sp2)-C(sp3)クロスカップリング反応

芳香族化合物と脂肪族化合物の炭素-炭素結合反応 (C(sp2)-C(sp3)クロスカップリング反応)は、脂肪族化合物のβ-水素脱離やトランスメタル化がボトルネックでした。近年、可視光レドックス触媒と、ニッケル等の遷移金属触媒を組み合わせることで、従来の手法では難しかったC(sp2)-C(sp3)クロスカップリング反応が多数報告されています1,2)。また、ハロゲン化物等の求電子剤どうしの還元的クロス求電子剤カップリング (Reductive Cross-Electrophile Coupling, CEC)によっても、(ヘテロ)芳香族化合物にアルキル基を再現性良く導入できるようになってきています。このような反応では脂肪族のカップリングパートナーとして、アルキルハライド3-6)、アルキルカルボン酸7-10)、アルキルアミン11,12) を利用できます。これらの化合物は、有機亜鉛試薬、Grignard試薬、有機ホウ素試薬と比較して、購入可能なものが圧倒的に多いことが特徴です。また、価格・安定性・安全性・取り扱い易さの観点からも有機金属試薬と比べ多くの利点があります。


C(sp2)-C(sp3)クロスカップリング反応


有機金属試薬 ハライド・カルボン酸・アミン
有機金属試薬 ハライド・カルボン酸・アミン
  • 反応の際、β-水素脱離や脱メタルプロトン化が競合することがある。
  • 空気および水に敏感なため、不安定で扱いにくい。
  • 高価で商用入手しにくい。
  • 置換基のバリエーションが少ない。
  • sp2炭素同士のカップリングで多用される。
  • 商用入手可能な化合物が多く、安価。
  • 置換基のバリエーションが豊富なので、多様性があるライブラリーを構築できる。
  • 安定で保管しやすい。

以下に、アルキルハライド、アルキルカルボン酸、アルキルアミンをカップリングパートナーとして用いたC(sp2)-C(sp3)クロスカップリングの代表的な反応例を示します 。なお、詳しい反応条件については引用文献を参照してください。

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還元的クロス求電子剤カップリング (Reductive Cross-Electrophile Coupling, CEC)

還元的クロス求電子剤カップリングは、還元剤共存下でのニッケル触媒によるアリールハライドとアルキルハライドとのクロスカップリング反応です。イリジウム可視光レドックス触媒を用いる系と、亜鉛等の金属粉を用いる系があります。


還元的C(sp2)-C(sp3)クロス求電子剤カップリング


X Y 使用する試薬および条件 文献
Cl Cl
(1級アルキルクロリド,
2級アルキルクロリド)
Ir[(ppy)2(dtbbpy)]PF6 [D4887] (cat.),
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
2,2’-Biimidazole [B2487] (cat.),
N-(Adamantan-1-yl)-1,1,1,3,3,3-hexamethyl-2-(trimethylsilyl)trisilan-2-amine [A3462],
TMG [T0148],
DMA / tert-Amyl alcohol, 34W blue LED, 55 °C
3)
Br Br
(1級アルキルブロミド,
2級アルキルブロミド)
Ir[(dF(CF3)ppy)2(dtbbpy)]PF6 [D5817] (cat.),
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
dtbbpy [D3134] (cat.),
TTMSS [T1463],
Na2CO3 [S0560],
DME, 34W blue LED, 25 °C
4)
Br Br
(1級アルキルブロミド,
2級アルキルブロミド)
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
PyBCam·2HCl [P3015] (cat.),
Zn [Z0015],
TFA [T0431],
NaI [S0564],
DMA, 60 °C
5)
Cl Cl
(1級アルキルクロリド,
2級アルキルクロリド)
NiBr2(DME) [N1298] (cat.) or NiI2·xH2O (cat.),
PyBCamCN [D6070] (cat.),
Zn [Z0015],
LiCl [L0204],
NMP, 80 °C
6)

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脱炭酸クロスカップリング

脱炭酸クロスカップリングは、アリールハライドとアルキルカルボン酸のクロスカップリング反応です。アルキルカルボン酸でα位にヘテロ原子をもたないものを用いた場合収率が低下しますが、フタルイミド [P0402]を添加する方法8)N-ヒドロキシフタルイミド [H0395]で活性化する方法10)も報告されています。また、炭素-炭素結合だけではなく、炭素-窒素結合反応も開発されています9)。この反応を利用すれば、インダゾール等の含窒素芳香族化合物のN-アルキル化やアミドのN-モノアルキル化が可能です。


脱炭酸C(sp2)-C(sp3)クロスカップリング


X R2-COOH 使用する試薬および条件 文献
Br α-ヘテロ原子置換カルボン酸 Ir[(dF(CF3)ppy)2(dtbbpy)]PF6 [D5817] (cat.),
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
dtbbpy [C2160] (cat.),
Cs2CO3 [A3462],
DMF, 26W CFL light, 23 °C
7)
Br 1級アルキルカルボン酸,
2級アルキルカルボン酸
Ir[(dF(CF3)ppy)2(dtbbpy)]PF6 [D5817] (cat.),
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
dtbbpy [D3134] (cat.),
Phthalimide [T1463],
BTMG [B6052],
DME, 34W blue LED, 25 °C
8)
I, Br 3級アルキルカルボン酸 N-Hydroxyphthalimide [H0395] (cat.),
NiBr2(DME) [N1298] (cat.),
tBuBpyBCamCN [C3803] (cat.),
Zn [Z0015],
DMA, rt
10)


アザアレーンとアルキルカルボン酸との脱炭酸C(sp2)-C(sp3)クロスカップリング


N-H R2-COOH 使用する試薬および条件 文献
アザアレーン 1級アルキルカルボン酸,
2級アルキルカルボン酸
Ir[(FMeppy)2(dtbbpy)]PF6 [B6258] (cat.),
CuTC [C2312] (cat.),
Bathophenanthroline [B6258] (cat.),
Iodomesitylene Diacetate [I0479],
Dioxane, blue LED, rt
9)

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脱アミンクロスカップリング (C-N結合活性化反応)

C-N結合活性化によるC(sp2)-C(sp3)クロスカップリングは、アルキルアミンを反応前にピリリウム塩 [T3968]でピリジニウム塩 (Katritzky塩)として活性化させて実施します11)。Katritzky塩を用いる手法は、1級および2級アルキル基の導入に適用できます。一方、嵩高い3級アルキル基は、対応する3級アルキルアミンを2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド [T2651]で電子豊富イミンとして活性化することで導入できます12)。この反応では、イリジウム可視光レドックス触媒が用いられます。


脱アミンC(sp2)-C(sp3)クロスカップリング


X R2-NH2 使用する試薬および条件 文献
Br 1級アルキルアミン,
2級アルキルアミン
NiCl2(DME) [N1051] (cat.),
diOMebpy [D3886] (cat.),
Mn,
2,4,6-Triphenylpyrylium Tetrafluoroborate [T3968],
MgCl2,
NMP, 80°C
11)
Br 3級アルキルアミン Ir[(dF(CF3)ppy)2(dtbbpy)]PF6 [D5817] (cat.),
Ni(TMHD)2 (cat.),
2,4,6-Trimethoxybenzaldehyde [T2651],
TBAC [T0055],
K2HPO4,
DMSO, rt
12)

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ビルディングブロック

ビルディングブロックの製品数は膨大なので、理想的なビルディングブロックを見つけることは容易ではありません。構造活性相関研究で候補化合物に組み込むアルキル基が不適切な場合、開発の進展に伴い、分子量や脂溶性の増加が併発します。その結果、開発後期に経口吸収性が低下したり、オフターゲット効果が引き起こされたりすることで、開発中止のリスクも生じます。
理想的なビルディングブロックの指標として、計算可能な物性値をベースとしたRule of 2が提唱されました13)。Rule of 2では、分子量が200以下、オクタノール-水分配係数 (logP)が2以下、水素結合ドナー (HBD)が2以下、水素結合アクセプター (HBA)が4以下を満たす化合物が良いビルディングブロックとされています。TCIが提供するビルディングブロック製品にRule of 2を適用し、C(sp2)-C(sp3)クロスカップリングに利用でき得るビルディングブロックを抽出しました。官能基を除いたコア骨格がRule of 2を満たすビルディングブロックについて、SDFファイルをご用意しました。製品の比較・検討にお役立てください。


反応 ビルディングブロック SDFファイル
還元的クロス求電子剤カップリング アルキルヨージド (25製品) アルキルヨージド ダウンロード
アルキルブロミド (169製品) アルキルブロミド ダウンロード
アルキルクロリド (174製品) アルキルクロリド ダウンロード
脱炭酸クロスカップリング アルキルカルボン酸 (185製品) アルキルカルボン酸 ダウンロード
脱アミンクロスカップリング アルキルアミン (227製品) アルキルアミン ダウンロード

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C(sp2)-C(sp3)クロスカップリングで導入でき得る、465種類の骨格の物性パラメータの平均値の表およびヒストグラムを以下に示します。PMI(主慣性モーメント)プロットは骨格の3次元性を可視化する手法の一つとして知られています14)。プロットされる位置が右上に近付くほど、骨格の形状が球状に近くなります。


物性パラメータ 計算値 Rule of 2に基づく理想値
分子量 (MW) 115.61±36.02 < 200
MolLogP 1.13±0.66 < 2
sp3炭素の割合 (Fsp3) 0.66±0.33
回転可能結合数 (RBC) 1.48±1.47
水素結合アクセプター (HBA) 1.77±1.03 ≤ 4
水素結合ドナー (HBD) 0.43±0.65 ≤ 2
トポロジカル極性表面積 (TPSA) 24.67±15.68

465種類のビルディングブロックの分子量 (MW)

465種類のビルディングブロックのMolLogP

465種類のビルディングブロックのsp3炭素の割合 (Fsp3)

465種類のビルディングブロックの回転可能結合数 (RBC)

465種類のビルディングブロックの水素結合アクセプター (HBA)

465種類のビルディングブロックの水素結合ドナー (HBD)

465種類のビルディングブロックのトポロジカル極性表面積 (TPSA)

465種類のビルディングブロックのPMI(主慣性モーメント)プロット

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引用文献

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