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クリーンな酸化剤を用いた酸化反応

近年,環境に配慮した物作り,グリーンケミストリーの観点から有機合成が見直され,多くの優れた手法が考案されています。その一つに空気中の酸素もしくは分子状酸素を酸化剤として用いる酸化反応があります。地球は大気に覆われ,その大気のおよそ20%は酸素であり,この酸素を酸化剤として用いることができれば,極めて経済的で,クリーンな酸化法となります。しかしながら,空気中の酸素,分子状酸素の酸化能はそれほど高くありません。そのため,遷移金属錯体触媒やラジカル生成触媒などを共存させ,酸化能を高める試みが盛んに研究されています1)
例えば,Markó らはテトラプロピルアンモニウムペルルテナート(TPAP)2) を,植村らはパラジウム(II)ジアセテート3) を触媒として,分子状酸素を酸化剤とするアルコールのアルデヒド,ケトンへの酸化法をそれぞれ報告しています。
また,香月らは(ニトロシル)ルテニウム-サレン錯体を用いた可視光の照射による第一級アルコールの触媒的酸素酸化反応を報告しています4)
福住らは9-芳香族置換アクリジニウム塩を触媒とし,光をエネルギー源とする室温下での空気酸化反応を報告しています5)
一方,石井らはN-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を用いた触媒的炭素ラジカル生成法を報告しています6)。それによると,NHPIは分子状酸素によりヒドロキシイミノ基の水素原子が引き抜かれ,フタルイミドN-オキシル(PINO)ラジカルを生じ,さらにPINOがアルカンやアルコールなどの炭素-水素結合から水素原子を引き抜き,相当する炭素ラジカルを与えます。炭素ラジカルは種々の分子と容易に反応するので,酸素雰囲気下ではカルボン酸などの含酸素化合物を与えます。
また,多孔配位高分子(Metal-Organic Frameworks: MOFs)(別名: Porous Coordination Polymers (PCPs))のpre-ELM-11は分子状酸素を用いた酸化反応への触媒としての用途が報告されています7)
製品については,以下のリンク先をご覧ください。

酸化

酸化有機触媒

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