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高位置規則性ポリチオフェン P3HTの塗布型OFETデバイス評価
弊社では,京都大学 小澤教授との共同開発により,直接アリール化重合 DArP 法を用いて合成し製品化しました。1,2) 同時に,有機エレクトロニクスグレードの高純度試薬としてPd含有率を100 ppm以下に軽減しています。
P3HTの性能評価
また,P3HT [P2513] を含めた6種の P3HT サンプルを同条件下で評価し,(1) 平均分子量とホール移動度の相関3),(2) 位置規則性 (HT) とホール移動度の相関4)について検証を行いました。結果として P3HT [P2513] は,平均分子量と位置規則性の両方の作用によって最も優れたホール移動度を示しました。さらに,本実験においては平均分子量よりも位置規則性の方が FET 性能に影響することが示唆されました。
デバイス作製手順5,6)
n+-Si/SiO2 基板 (SiO2 :300 nm) にn-Octyltrichlorosilane (OTS) [O0168] を用いて SAM 処理を行いました。
窒素雰囲気のグローブボックス内で,P3HT [P2513] とトリクロロベンゼン:クロロホルム混合溶媒を10 mg/mlの濃度で調整し,加熱撹拌を行いました。スピンコート法 (1,500 RPM) にてOTS処理した基板上にP3HT [P2513] の薄膜を形成し,100℃で熱アニールを行いました。
その後,基板を大気暴露せずに蒸着機に搬送し,真空蒸着法で金 (60 nm) を蒸着することで,ソース・ドレイン電極を形成し,トップコンタクト型OFETデバイスの作製を完了しました (図1) 。作製したデバイスは窒素雰囲気下で測定しました。
すべての P3HT サンプルにおいても同様の手順でデバイスを作製しました。
図1. P3HTを用いたOFET素子の構造
(1)平均分子量とホール移動度の相関
P3HT [P2513] と平均分子量の異なるサンプル3種について,作製したデバイスの特性を表1および図2に示します。サンプル1と2は,P3HT [P2513] と同様の製法で製造された,平均分子量の異なるロットです。
平均分子量の増加に伴うホール移動度の向上が観測され,P3HT [P2513] を用いたデバイスでは,ホール移動度μh = 1.1×10-1cm2/Vs,on/off比 = 9×104 の良好なFET挙動が得られました。平均分子量の増加による薄膜状態での結晶性の向上が要因と考えられます。P3HT [P2513] は,Mn = 36k ~ 45k を規格として設定しています。
図2.(a)平均分子量の異なるP3HTを用いたFETデバイスの伝達特性,(b)分子量とホール移動度の相関
(2)位置規則性とホール移動度の相関
P3HT [P2513] と位置規則性の異なるサンプル2種について,作製したデバイスの特性を図3a, bに示します。サンプル4と5は,他社製品を使用しています。
位置規則性の上昇に伴う大幅なホール移動度の向上が実測されました。サンプル4 (HT: 91%,Mn.: 39K) は P3HT [P2513] と同等の平均分子量を有するにも関わらず,ホール移動度は前項サンプル2 (HT: 99%,Mn.: 8K) の方が優れていることがわかりました。つまり,本実験条件においては,平均分子量よりも位置規則性の方が効果的にFET性能に寄与することが明らかになりました。
図3.(a)位置規則性の異なるP3HTを用いたFETデバイスの伝達特性,(b)位置規則性とホール移動度の相関
参考文献
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「材料の純度」はトランジスタ性能を大きく左右する重要なファクターです。
弊社では,FET素子の作製・解析を行い
実デバイス上で使用できる高品質な材料の安定供給を目指しています。