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高い移動度と大気安定性を併せ持つp型半導体材料“DPh-BTBT”

高い移動度と大気安定性を併せ持つp型半導体材料“DPh-BTBT”

有機電界効果トランジスタ(Organic Field-effect Transistors: OFETs)は,有機材料の特徴である軽量性・柔軟性を利用し,フレキシブルディスプレイ,電子ペーパー,RFIDタグ,さらには人口皮膚などへの応用が期待されており,実用化に向けて活発に研究が行われています。有機トランジスタでは,半導体材料のHOMO(p型)あるいはLUMO(n型)へ電極からキャリアを注入することで動作します。従って,電極の仕事関数と半導体材料のHOMO,LUMOレベルのマッチングが重要です。
また,有機材料は大気中に存在する水や酸素の影響を大きく受けることが知られています。一般に,HOMOが浅い材料(>-5 eV)は大気中の酸素で酸化されることがあり,デバイス特性の低下に繋がります。
以上のことから,p型材料のHOMOは-5 eVよりも深いことが,大気安定性において重要であると考えられています。
チエノチオフェン骨格を導入した縮環化合物DPh-BTBTは,瀧宮教授らによって報告された,高い移動度と大気安定性を併せ持つp型材料です。1)
特徴として,HOMOレベルが-5.6eVと大変深く安定なこと,さらには硫黄原子上にHOMOが存在するためキャリアパスに非常に有利であることなどが挙げられます。

弊社では,この優れたp型半導体材料であるDPh-BTBTを製品化しました。社内にて,OFET素子の作製および評価も行って行っており,最大でホール移動度 μ = 3.5 cm2/Vsが得られています。実験詳細は下記をご参照ください。
  • 1)K. Takimiya, H. Ebata, K. Sakamoto, T. Izawa, T. Otsubo, Y. Kunugi, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 12604.

DPh-BTBTの性能評価

n+-Si/SiO2基板(SiO2 :200nm)に,Trichlorooctadecylsilane(ODTS)[O0079]を用いてSAM処理を行いました。次に,基板を蒸着機にセットし,真空蒸着法によりDPh-BTBTの薄膜(60 nm)を形成した後,金(40 nm)を蒸着しソース・ドレイン電極を形成することで,トップコンタクト型OFET素子を作製しました(図1)。作製した素子は,窒素雰囲気下グローブボックス内および大気下にて,それぞれ測定しました。

DPh-BTBTを用いたOFET素子構造

作製した素子の特性を表1に示します。
窒素雰囲気下にて測定した結果,DPh-BTBTは安定なp型半導体特性を示しました。また,トランジスタ性能は蒸着時の基板温度に大きく依存しており,基板温度100℃にて作製した素子において電荷移動度 μmax = 3.5cm2/Vs,on/off比 2.1 × 107の良好な値が得られました(表1および図2)。
大気下での測定においても,素子特性の大きな低下は見られず,窒素雰囲気下と同様に高い移動度を示しました (表1)。
以上の結果から,DPh-BTBTは高性能かつ十分な大気安定性を有していることがわかります。

DPh-BTBTを用いたOFET素子の特性


「材料の純度」は,トランジスタ性能を大きく左右する重要なファクターです。
弊社では,高純度,高品質な材料を提供するべく日々努力しております。今後も多種多様なトランジスタ材料を製造・社内評価し,実際の素子特性を取得・解析することで材料の品質をさらに高めてまいります。

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