立体異性体は、原子の結合は同じですが立体配置が異なる化合物で、その違いから異なる特性を示します。不斉合成は、特定の立体化学を持つ化合物を選択的に合成する合成手法です。不斉合成は立体選択的反応に分類され、化合物に新しいキラルユニットを導入します。このキラルユニットは、キラル中心、キラル軸、またはキラル面として現れます。この反応の重要な点は、可能性のある立体異性体の不均等な形成です。不斉合成は、正確な立体構造を持つ分子の開発に焦点を当てた有機化学で重要な役割を果たします。この技術は、医薬品・農薬開発、材料科学など、さまざまな分野で極めて重要な、立体異性的に純粋な化合物を生成するために特に重要です。
医薬品、農薬や機能性材料、特に強誘電性液晶開発の研究分野では、光学活性化合物の必要性が大幅に高まっています。これらの望みの光学活性化合物を合成するため、キラル補助剤や不斉触媒などを用いたジアステレオ選択的反応、エナンチオ選択的反応が利用されています。目的物の光学純度と収率をさらに高めるため、革新的なキラル補助剤と不斉触媒が継続的に開発されており、多くの成功例が報告されています。
不斉合成には様々な触媒が利用されています。例えばルテニウムやロジウム、パラジウムなどを中心金属として持つ遷移金属錯体が汎用されています。錯体を合成する際に金属塩と組み合わせて用いられるキラル配位子も多数開発されています。また、金属を含まず有機化合物のみで不斉反応の触媒となる例も報告されており、不斉有機触媒と呼ばれています。不斉有機触媒はキラリティーを促進する有機小分子で構成されており、例えば、プロリンを触媒として使用した不斉アルドール反応が報告されています。